慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは慢性に経過するすべての腎臓病を指します。
腎臓にはさまざまな働きがあります。体内の老廃物や水分を排泄して体内をきれいにしてくれています。
ほかに血圧の調整や赤血球を作ったり骨を強くする働きもあります。この腎臓がさまざまな原因で働きが低下すると慢性腎臓病となります。
最近では腎炎という腎臓の病気だけでなく糖尿病や高血圧、動脈硬化による慢性腎臓病が増えています。
しかし、初期には自覚症状がないため健康診断などで見つかることが多くなっています。また、症状がないため受診が遅れることも多いです。
慢性腎臓病は主に血液検査と尿検査で診断されます。糸球体濾過量(尿を作り出す力 eGFRと呼びます)が60未満か尿検査の異常(特にたんぱく尿が大事です)のいずれかまたは両方が3ヵ月以上続くと慢性腎臓病と診断されます。
▲eGFR値と慢性腎臓病治療の目安
慢性腎臓病が進行すると老廃物や水分が体内にたまり尿毒症やむくみの原因になります。
さらに血圧が高くなったり貧血が進んだり骨ももろくなることもあります。尿毒症にはさまざまな症状があり、倦怠感やむくみ、たちくらみ、頭痛、かゆみ、息切れ、夜間尿などがあります。特にたんぱく尿が多くなったり糸球体濾過量(eGFR)が低下するにつれてこれらの症状が強くなってきます。
適切な食事療法(塩分制限が大事です、たんぱく質の制限は病状によります)や薬物治療などを行っていかないと、尿毒症やむくみだけでなく、高血圧、心不全、不整脈などを起こしたりして生命にかかわってきますので、透析治療を行う必要がでてきます。
慢性腎臓病の治療は原因となる病気の治療を行うことが大切です。また規則正しい生活(適度な運動、禁煙など)、食事療法(塩分制限が大事)、血圧管理(130/80以下、尿たんぱくが多い場合125/75以下が目標)が必要です。それでも腎臓の働きが悪くなった場合に透析療法を行います。
透析療法は悪くなった腎臓のかわりに人工的に体内の老廃物や余分な水分を取り除き体調を回復させる治療で血液透析と腹膜透析があります。
どちらの方法を選ぶかは病状や生活習慣などをもとに患者さんが医師やスタッフとともに一緒に考えて決めていきます。
腎臓の働きがもとに戻る方法ではありませんが、生活面や食事、血圧を管理することで透析療法を行いながら体調を十分に整えることができます。
近年、慢性腎臓病の患者さんは、脳卒中や心筋梗塞の発病が高くなることがわかってきました。
10年以上慢性腎臓病の患者さんの経過をみていくと慢性腎臓病のない患者さんと比べて脳卒中や心筋梗塞が約3倍多くなることもわかっています。慢性腎臓病は腎臓だけに注目しがちですが、腎臓だけでなく全身、特に心臓や脳などの血管の病気に影響があるといえます。原因もさまざまです。
もともと糖尿病や高血圧をもっている方はそれだけでも血管を傷めていることが多いですが、慢性腎臓病がありますと尿毒症などの影響からさらに血管を傷つけることになるとされています。慢性腎臓病の早期発見や治療は、慢性腎臓病の進行のみならず心臓や血管を守る意味でも大切なことといえます。
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担当医師 | 当院の腎臓内科医師が交代で診察いたします。 |
当院では年4回、3回シリーズで腎臓病教室を開催しております。
医師をはじめさまざまな職種が講義をしますので、いろいろな話しを聞くことができます。ぜひお気軽に参加してみてください。
もちろん気になる回だけ参加していただくことも可能です。(当院入院、外来患者さんとそのご家族が対象です。)