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鼠径(そけい)ヘルニアについてよく質問されることにお答えします
足の付け根や下腹部は一番腹圧がかかりやすい場所です。鼠径(そけい)ヘルニアは、加齢とともに足の付け根や下腹部の筋肉が弱くなることで、内臓脂肪、腸、卵巣などがおなかの中から皮膚のすぐ近くや陰嚢にまで飛び出してしまう病気です。 日本でも年間18万件以上の手術が行われており(当院では120件ほど)、誰もがなりうる病気です。男性では50歳以降に、女性では40歳代以降に発症し、約9割は男性に発症します。また高齢化が進んでいる日本では、鼠径ヘルニアの患者さんはますます増加すると考えられています。 多くの病院では、普段「がん」の手術をてがける外科医が“ときどき”鼠径ヘルニアの手術を行うことが多いですが、私たちのヘルニアセンターでは、鼠径ヘルニアの診療に特化した外科医が診察から手術まで一貫して行います。
鼠径ヘルニアの症状は、鼠径部にやわらかいふくらみを触れ、立った状態や咳をした時などに鼠径部が膨らみ、横になると速やかに膨らみがへこみます。しかし、時間が経つとともにそのふくらみはどんどん大きくなり、痛みを感じたり、腸が飛び出したまま戻らなくなってしまう(嵌頓といいます)状態となることがあります。このような状況になってしまうと命に関わることがありますので、できるだけ早く治療を始める必要があります。
鼠径ヘルニアでは、「問診」といって実際の症状をお聞きすることがとても重要です。診断をより確かにするために、補助的に超音波検査やCT検査などを行うこともあります。
鼠径ヘルニアは、下腹部の筋肉が弱くなってしまうことによって発症する病気です。そのため、鼠径ヘルニアの治療は、その弱くなってしまった筋肉を、「メッシュ」と呼ばれる補強材で修復するしかありません。鼠径ヘルニアを治す体操やヘルニアバンドという体表から圧迫するベルトなど巷にはいろいろな治療法があふれていますが、状況によっては症状を悪くする場合がありお薦めできません。 手術の方法は、大きく分けて以下の3通りあります。
鼠径部切開法は、鼠径部に4~5cmほど切開して行う手術方法です。現在でも主流の手術方法で、約70%はこの方法でされています。
手術切開部のイラスト・写真
手術後のおなかの傷
ロボット支援下手術は、腹腔鏡手術の利点をそのままに難易度の高い技術を補う新しい手術方法です。日本でも既に、胃がんや直腸がんなどではその利点を大いに生かした手術が行われています。米国では、半数以上の鼠経ヘルニア手術がロボット支援下に行われるようになってきています。当センターでも、ヘルニア治療の選択肢の一つとして提案できるよう、ロボット支援下鼠経ヘルニア修復術を導入致しました。
どんなに注意して最善を尽くしたとしても、ある一定の確率で以下のような合併症は起こってしまいます。
もちろんこれらの合併症が起こらないように細心の注意を払って手術を行いますが、万が一合併症が起こってしまったとしても、適切な対応を行っております。
月曜日・火曜日・金曜日の午前(9:00~12:00)、午後(14:00~17:00)を鼠経ヘルニア外来として設けております。診察で鼠経ヘルニアと診断されれば、手術に必要な検査を行い、手術の方法、入院日、手術日を決定します。腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術の場合、入院期間は3泊4日としております。例えば、金曜日の午後に入院し土曜日に手術を受け、月曜日の朝に退院するというスケジュールを組むこともできます。退院後は、激しい運動さえ控えていただければ、通常通りの生活ができます。もちろん、退院された後そのままお仕事に行かれても構いません。退院して2週間後に一度外来を受診していただき、経過に問題がなければ診察は終了となります。
私たちのヘルニアセンターは地域の中核総合病院として、ほかの病院では治療が難しいとされた鼠経ヘルニアでも積極的に受け入れています。手術を迷っているので相談したい、鼠経ヘルニアと診断されたが本当だろうか、など気がかりなことがありましたら是非ご相談ください。
外科(消化器病センター)、鏡視下(腹腔鏡)手術外来、そけいヘルニアセンター
外科(消化器病センター)、そけいヘルニアセンター