腎部分切除術の手術方法は「開腹手術」「腹腔鏡手術」「ロボット支援下手術」の3つの方法があります。
開腹手術は、腫瘍の切除や残った腎臓の縫合などの操作が比較的容易に行えるため、以前より広く行われてきました。しかし、肋骨の下付近に比較的大きな切開創(7~10cm)が必要で、脇腹の筋肉を切開しなければならず、傷や手術後の痛みが大きいことが問題点とされていました。
開腹手術
ロボット支援下手術
腹腔鏡手術による腎部分切除術の場合、開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが少ないなどメリットがあります。しかしながら、お腹に腹腔鏡の鉗子を挿入するための小さな穴を通して手術を行うため、腫瘍の切除や腎臓の縫合が比較的難しく、手術時間が長くなることから、特定の施設でしか行われませんでした。
ロボット支援下腎部分切除術は、手術支援ロボットの「ダビンチ」を用いることで、三次元の立体的な画像を4K高精細度モニターに投影し、腫瘍と臓器の正確な位置関係をとらえながら、より繊細な手術を行うことができます。従来の腹腔鏡手術と異なり、人間の手の関節以上に自由度の高いロボット鉗子を用いることで、腫瘍の精密な切開や、残った腎臓の縫合を正確により早く行うことが可能です。また、腹腔鏡手術と同様に傷口が小さいため、術後の痛みが少なく、患者さんの社会復帰も早めることが可能です。ダビンチを用いたロボット支援下腎部分切除術は、開腹手術と腹腔鏡手術の利点を合わせ持った術式と言えます。