悪性リンパ腫とは、血液中を流れるリンパ球に由来するがんの一種であり、リンパ節や様々な臓器に発生します。
悪性リンパ腫の放射線治療は、放射線治療のみによる根治的治療、化学療法と併用した根治的治療、再発予防のための照射、再燃(再発)リンパ腫に対する緩和照射などを目的に行われます。悪性リンパ腫は放射線が効きやすいがんですので、リンパ腫の種類や病状により、治療内容を選択します。
外部照射とは、リニアック(直線加速器)という放射線治療装置を用いて、高エネルギーのX線や電子線を体の外から照射する治療法です。
当院では、高精度放射線治療器True Beamによる強度変調放射線治療(IMRT)を行います。
IMRTでは腫瘍に対しては多くの線量を照射し、正常組織にかかる放射線量を減らす照射が可能です。
放射線治療は悪性リンパ腫の局所制御(放射線を照射した部位からの再発(再燃)が起こらないようにする)に最も有効な手段です。
進行が年単位で、ゆっくりした経過をたどることが多いリンパ腫です。
がん化した箇所が1か所のみ、もしくは2か所以上でも近接しているなど、限られた範囲にしかがんが広がっていない(限局型)場合、放射線治療で根治を目指すことが可能です。2Gy×12回(6日間)の照射を行います。
進行したろほう性リンパ腫の場合、広がったしこりに対し2Gy×2回(2日間)の外部照射を行い、しこりを小さくする治療を実施します。 再発しても同じ箇所に放射線を照射することが可能です。
胃の粘膜に現れるMALTリンパ腫の主な原因はピロリ菌感染が原因のため、多くはピロリ菌の除菌により改善しますが、除菌しても治らない、もしくは進行して悪性リンパ腫になってしまった場合は、放射線治療が適用となります。
2Gy×15回(週5日の通院を3週間)程度の外部照射を行います。
リンパ腫細胞が散らばりやすい病気のため、目に見える病巣と見えない転移が全身に拡がりやすい傾向があります。 そのため、病巣が限られた範囲にしか見られない場合でも、化学療法との併用が重要になります。
化学療法(R-CHOP療法)を3サイクル(3週間1サイクルを9周)行った後、強度変調放射線治療(IMRT)を行います。 IMRTによる照射では、周辺の正常臓器への被ばくを抑えることが可能です。 治療期間は3週間で(1日2Gyの照射を週5回、全15回実施)行います。 1回の治療時間は2分程度(治療前の体位合わせなど含め10分)です。 化学療法との併用により、通常は6サイクル行う化学療法を3サイクルに減らすことが可能なため、治療期間を短縮できます。