前立腺がんは日本人男性がかかる部位別がん第1位となっており、特に65歳以上の男性に多いがんです。早期の前立腺がんにはほとんど自覚症状がありません。進行すると血尿、尿が出にくいなどの症状が出始め、骨に転移すると足腰に痛みを感じるようになります。血液検査値(PSA)が上昇し発見されることが多く、現在では多くが早期がんで見つかります。早期がんであれば手術(ロボット)、放射線治療(外照射、小線源)、内分泌治療、経過観察などから治療方法を選びます。転移のある進行がんの場合は、内分泌治療が中心となります。
前立腺特異抗原(PSA)は健康診断などで測定される前立腺がんの腫瘍マーカーです。一般的にPSAが4.0 ng/ml以上の場合前立腺がんの可能性があり(年齢によって、3.5や3.0を基準とすることがあります)、泌尿器科の受診が勧められます。しかし、PSAが高いからといって必ず“がん”というわけではありません。PSAは前立腺肥大症や前立腺の炎症などの良性疾患でも上昇することがあります。最終的に前立腺がんの有無を確定するためには「前立腺生検」と呼ばれる組織検査が必要になります。
早医師が患者さんの肛門から指を入れ、前立腺の状態を調べます。表面に凹凸を感たり、しこりがあったりするとがんが疑われます。
前立腺周囲、骨盤内のリンパ節を主にチェックします。また見える範囲で骨の状況もわかります。
MRIは現在、前立腺の内部を観察するのに最も良い検査で、前立腺がんが隣の精嚢や前立腺をつつむ膜を越えて外に広がっていないかなどを見ます。CTと同様に見える範囲で骨のチェックもします。
ストロンチウムを少量注射して3、4時間後に全身の骨を撮影して骨転移の有無を見ます(低・中リスクの方は必ずしも必要ではありません)。
※骨シンチグラフィーについては、他の医療機関での検査となります。
前立腺がんの有無を調べるために、前立腺の組織を採取し、病理検査を行います。当院では 従来の前立腺生検よりも正診率の高い「MRI-超音波弾性融合画像前立腺生検」を導入しております。
前立腺がんのステージ分類についてはこちらをご覧ください。
前立腺がんは「転移のない早期がん」「転移はないが悪性度の高い局所進行がん」「骨やリンパ節への転移があるがん」によって治療方法が分かれます。
手術、放射線治療(外部照射/小線源治療)、ホルモン治療(内分泌治療)、無治療経過観察、どの治療も選択できます。それぞれ利点/欠点がありますので、医師と相談し、よく考えてから選びましょう。
※放射線治療については現在建設中の放射線治療棟での治療開始まで他医療機関での実施となります。
転移はないが進行したがんでは、ホルモン治療2-3年と放射線治療(外部照射)の組み合わせが標準とされます(小線源治療は選択できません。)また、手術が選択されることもあります。
転移がある場合は、基本的にホルモン治療となります。もし、身体のある部分にのみ強い痛みがあれば、放射線をあてることはありますが、通常の前立腺への放射線療法とは異なります。
前立腺がんの根治手術は、全身麻酔をかけて前立腺・精嚢を尿道と膀胱から切り離して摘出し、膀胱と尿道をつなぎあわせる(吻合)もので根治的前立腺全摘除術と呼んでいます。
前立腺がんの手術には大きく分けて開腹手術、腹腔鏡手術があります。当院では、患者さんのからだへの負担が少ないロボット支援下根治的前立腺摘除術を行っております。
手術での治療の他に、外部照射・内部照射の放射線治療も行っています。
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